5本目の親知らずと9回の抜歯

最悪だ…。

10年以上前に、歯茎に埋もれながら真横に生え伸びてきたがゆえに、
2週間もの間たべる牧場ミルクみたいな顔面になりながら耐え抜いた、

左下の親知らずの箇所に

 

もう一本同じ状態で親知らずが生えているなんて。

 

あの時は本当に地獄だった。

歯茎に埋もれているがために切開し、巨大に根付く奥歯を数分割して引き抜くという処置が施されるのだが、頭蓋骨まで破り抜かれているかのような恐怖を感じる爆音と、その後の止まらない出血は思い出すだけでもお尻がきゅっとなる。

しかも当時、田舎の歯医者で処置したためか、おそらくあまり上手ではなかったのだろう。ものすごく時間がかかり、ものすごく痛かった。

 

ちなみに、右下の親知らずも歯茎に埋もれながら腫れ散らかして、昨年の夏に抜歯を行った。右下の時には、現在通院している歯科医が上手だったのか、前回ほどの恐怖心はなかったものの、それでもしばらくの間は痛みと血が止まらず、生活が大変だったのだ。

というか、同じ場所かつ真横に2度も生えてくる親知らずって何?
どんだけ伸びるの齧歯類なの?

そもそも、この事実を知る羽目になったのは、歯列矯正の検査でレントゲンを撮り、その抜歯計画を説明されていた時なのだが、

我が顎は相当な問題を抱えている様で、

受け口でありつつそれをリカバーしようと前歯が突出してきており、重なり生えている八重歯のせいで全ての中点(前歯日本の間)が全てずれているとのこと。

レントゲンの他には、骨以外の写真も正面・左右・斜めと死ぬほど顔面の写真撮影があり、10方向に並ぶ間抜けたつらのブスの写真を眺めながら、更には骨格的ブスとの絶望を叩きつけられる、新手の地獄タイムなのだ。

(先生は優しいのでそんなふうには言わないよ)

 

そうして、抜歯するには、正面の歯上下2本ずつと、奥で押してきている肉に埋もれた親知らずの摘出が必要だと伝えられた。

 

私「うわー7本!?」

先生「昨年右下を抜いているからラッキーですよ。8本の方もまれにいますし。」

私「そっかー」

 

といいつつ、またあの痛い抜歯を…抜歯を…

…あれ?我、過去2回地獄の親知らず抜歯しなかった?

 

痛みを通して思い出し、冒頭に戻ります。

そう、私が気づかず並行世界のどこかの自分に転移してない限りは2回抜いた記憶があり、その2回とも横に生えていた。

そしてレントゲンをみなおしても、やはり無いはずの箇所に元気に生えている親知らず。

どういうこと?

さらに奥にスタンバイしてたの?もっかい伸びちゃったの?リスなの?

もしかしたら自分SSRレアの「9本抜歯矯正」ですか?そんなSSRいらなかった。

 

 とにかく、1月ほどの間に3本、数ヶ月内には残り4本の抜歯が施されることとなった。

帰り道自転車を漕ぎながら、

「やったじゃん、歯を治せば橋本環奈になれるかもしれないよ?」

なんてもう一人の自分の励ましも虚しく、

「パーツの数しか一緒じゃねえよ。どころか歯が多すぎるわ。」と打ち消されるくらいには、苛立ちを感じている様だった。

少なくとも正面の上下4本を抜いた様は、チップとデールのデールにそっくりになるのではないかというのは、自分会議で満場一致の賛同を集めていた。

 

また、歯列矯正が開始されると食べられるものがかなり限られてくるらしく、

色の濃いもの(コーヒー・カレー・ワイン)や硬いもの(お肉やお菓子類など)はNG推奨らしいと聞いた。

我…全部好きなんじゃが。

 

しばらくの間、食事も人と会うのも話すのも大変になりそうですが、3年後待ち合わせの場で橋本環奈が佇んでいたら私なので、どうぞよろしくお願いいたします。